「この前撮りの作品、映画のワンシーンみたい」。そんな風に言われる作品には、ある共通点があります。
それは、単に構図が美しいとか、ロケーションが素敵だとかいうことではありません。写真の中に「物語」が感じられること。一枚の写真なのに、その前後に何かドラマがあるような空気感が漂っていることです。
この記事では、前撮り写真を映画のワンシーンのように仕上げるために、撮影する人たちが実際にやっている工夫を解説します。
「映画みたいな前撮り」と言われる作品の共通点

まず、映画のような雰囲気を持つ前撮りの作品に共通する特徴を見ていきましょう。
余白と空気感がある
映画的な写真には、必ずと言っていいほど「余白」があります。画面いっぱいに二人が写っているのではなく、周囲の空間や背景にも意味を持たせている。その余白が、物語の広がりを感じさせます。
例えば、窓辺に立つ二人の後ろに広がる街並み、長い廊下の奥に小さく佇む二人のシルエット。こうした構図は、二人だけの世界を切り取りながらも、その周りに流れる時間や空気までも写し込んでいます。
色味とトーンが統一されている
映画には必ず「色彩設計」があります。全体を通して一貫したトーンがあるからこそ、作品世界に没入できる。前撮りでも同じで、写真全体の色味が揃っていると、ぐっと映画的な雰囲気が出ます。
暖色系で統一された柔らかな世界観、モノトーンに近い落ち着いた雰囲気、青みがかった儚げなトーン。どの方向性でも構いませんが、写真や動画のカットごとにバラバラではなく、一つの作品として統一感があることが重要です。
「瞬間」ではなく「情景」を切り取っている
スナップ写真は「決定的瞬間」を捉えますが、映画的な写真は「情景」を捉えます。笑顔の瞬間だけでなく、その前の静かな時間、視線を落としている瞬間、会話の合間の沈黙。そうした「何もしていない時間」にこそ、物語性が宿ります。
カメラを意識しすぎず、二人がその場に存在している自然な姿。それが、まるで映画のワンシーンを切り取ったような印象を生み出します。
撮影前に決めている3つのこと

映画のような前撮りを実現するために、撮影前に明確にしておくべきことがあります。
① 作品全体の「トーン」
まず最初に決めるべきは、作品全体のトーン。明るくて軽やかな雰囲気にしたいのか、落ち着いた大人っぽい世界観にしたいのか、少し切なさを感じるエモーショナルな空気にしたいのか。
具体的な映画作品を参考にするのも効果的です。「アメリ」のようなポップで色彩豊かな世界観、「ビフォア・サンライズ」のような会話劇的な自然さ、「ムーンライト」のような静謐で美しい映像美。こうした参照点があると、撮影の方向性が明確になります。
② 二人の「関係性」をどう見せるか
映画には必ず主人公たちの関係性があります。前撮りでも同じで、二人がどんな距離感で、どんな空気を纏っているのかを事前に言語化しておくことが大切です。
いつも寄り添っているカップルなのか、少し距離を置きつつも見つめ合うような関係なのか、笑いが絶えない明るい二人なのか。その関係性が作品に表れることで、見る人に「この二人の物語」が伝わります。
③ 時間帯と光の質
映画監督が最もこだわるのが、光の使い方です。前撮りでも、時間帯によって作品の雰囲気は大きく変わります。
朝の柔らかな光は爽やかで希望に満ちた印象を、昼間の強い光は日常的で開放的な雰囲気を、夕方のゴールデンアワーはドラマチックで温かみのある世界観を、夜の人工光は都会的で洗練された空気を生み出します。
どの時間帯の光で撮りたいかを事前に決めておくことで、作品全体の質が格段に上がります。
ロケーションより大切な要素

映画的な前撮りを作る上で、実はロケーション選びよりも重要な要素があります。
「場所」ではなく「光と構図」
有名なロケーションで撮れば映画のような写真になるわけではありません。むしろ、どこにでもある場所でも、光の当て方と構図次第で、驚くほど映画的な一枚が生まれます。
例えば、何の変哲もない路地でも、逆光で二人のシルエットを浮かび上がらせれば、一気にドラマチックな印象に。カフェの窓際でも、ガラスに映り込む街の風景を活かせば、多層的な構図が完成します。
「非日常」より「日常の美しさ」
映画の名シーンの多くは、実は特別な場所ではなく、日常の中にあります。駅のホーム、街角のベンチ、アパートの階段。そうした何気ない場所にこそ、リアリティと物語性が宿ります。
前撮りでも、あえて「前撮りらしくない」日常的な場所を選ぶことで、二人の自然な関係性が際立ち、結果的に映画のような空気感が生まれることがあります。
場所に「意味」を持たせる
映画では、ロケーション自体が物語の一部になっています。前撮りでも、ただ綺麗な場所を選ぶのではなく、「二人にとって意味のある場所」を選ぶことで、写真に深みが生まれます。
初めて出会った街、よく一緒に散歩する公園、プロポーズをした場所。そうした「二人の物語」が刻まれた場所で撮ることで、写真は単なる記念写真ではなく、「二人の映画」の一部になります。
作品が”物語”になる前撮りとは
では、前撮り素材全体を一つの「作品」として成立させるには、どうすればいいのでしょうか。
起承転結を意識した撮影構成
映画には必ずストーリーの流れがあります。前撮りでも、素材を並べたときに自然な流れが生まれるよう、撮影の構成を考えることが重要です。
例えば、静かに佇む二人のシーンから始まり、徐々に距離が近づいていく、そして最後は笑顔で見つめ合う。あるいは、明るい場所から暗い場所へ、屋外から屋内へと移動していく。こうした「流れ」があることで、作品全体が一つの物語として見えてきます。
カット割りのような多様な構図
映画は様々なアングルのカットを組み合わせて作られています。前撮りでも、同じシーンを引きと寄り、俯瞰とアイレベルなど、複数の構図で撮影することで、作品に立体感とリズムが生まれます。
遠くから二人の全身を捉えた素材、手元や横顔だけを切り取った素材、二人の視点から見た風景。こうした多様な視点を組み合わせることで、まるで映画を観ているような体験が生まれます。
「説明」しない作品
映画が優れているのは、すべてを言葉で説明しないこと。観客に想像の余地を残すことで、作品に深みが生まれます。前撮りでも同じで、すべてを見せすぎない、説明しすぎない作品の方が、かえって物語性が増します。
顔が少し影に隠れている、視線が合っていない、後ろ姿だけが写っている。そうした「完璧ではない」作品にこそ、見る人の想像力を刺激する余白があります。
時間の流れを感じさせる
映画は時間芸術です。前撮り素材も、時間の流れを感じさせることで、よりシネマティックな印象になります。
光の変化、風になびく髪やドレス、動きのある仕草。こうした「時間が止まっていない」要素を作品に取り入れることで、静止画でありながら、その前後に続く時間を感じさせることができます。
Soiが考える「二人らしさ」と映画的表現の融合
私たちSoiが前撮りで大切にしているのは、映画的な美しさと、二人らしさの両立です。
テクニックより「空気」を撮る
映画のような構図や色味は確かに重要ですが、それはあくまで手段。本質は、二人の間に流れる空気や、その場にしかない雰囲気を捉えることです。
技術的に完璧な作品よりも、二人の自然な表情や関係性が垣間見える瞬間の方が、結果的に映画的な深みを持つことがあります。だからこそ、撮影中は二人にリラックスしてもらい、自然体でいられる環境を作ることを何より大切にしています。
「撮らせてもらう」スタンスではなく「一緒に作る」
映画は監督だけでは作れません。俳優、スタッフ全員が一つの作品を作り上げていきます。前撮りも同じで、カメラマンが一方的に撮るのではなく、二人と一緒に作品を作っていくという意識が重要です。
「こういう雰囲気はどうですか」「今の表情すごく良かったです」といった対話を重ねながら、その場で生まれる化学反応を大切にする。そのプロセスが、唯一無二の映画的な作品を生み出します。
10年後も色あせない「映画」を
流行の映像表現は移り変わりますが、本質的に美しい映画は時代を超えて残ります。前撮りでも同じで、一時的なトレンドではなく、10年後、20年後に見返しても美しいと感じられる「普遍的な映画」を作ることを目指しています。
それは派手な演出ではなく、光と影の使い方、二人の自然な関係性、時間の流れを感じさせる構図。そうした本質的な要素を大切にすることで、一生残る作品が生まれます。
「映画のような前撮り」を一緒に作りませんか?
「ただ綺麗な作品」ではなく、「二人の物語が詰まった作品」として残る前撮りがしたい方は、ぜひご相談ください。あなたたちだけの映画を、一緒に撮影しましょう。

